MASANORI MURAOKA'S IMPRESSION

METRO KNIGHT 86LX

「円熟期を迎える湾奥シーバスシーンに対応するために進化した」

東京湾奥というエリアは非常に特殊なエリアである。日本トップレベルの魚影の濃さ。だけど、簡単に釣れるわけではない。アングラーも多いため、日本で一番魚がスレているエリアでもある。そこで発展してきた釣るための考え方は他のエリアとかなり違う。バイトが無い時に「魚はいるけど、喰わない。」という考え方。内水面のブラックバスやトラウトと同じように、魚がいるという前提。この前提を置いたことでこの釣りは飛躍的に進化した。ともすれば、「魚がいない」と考えてしまいがちな海の釣りにおいて、東京湾奥という閉鎖性と魚影の濃さがこの考え方を醸成するのには必須だったのだろう。そして、今やその喰わない魚に口を使わせる釣り方は、ルアーを積極的に動かす時代へと突入している。リフト&フォールに始まり、ジャーキング、トゥイッチング、ヒラ打ち、S字、ワインドなどを水面からボトムという様々なレンジで使ってバイトを誘う。これ無しには今の東京湾奥の釣果は支えられない。ルアーを積極的に動かす時代に突入することが明白な現状の中、ネオンナイトを更に発展させる決意をした。一つ目はロッドのアクションバランスの移動である。ルアーを動かし続けていて一番負担を感じる部分はロッドを持つ手の手首である。これはアクションバランスが自分の手首からティップ側に離れるほど強く負担を感じる。数時間に及ぶ釣行でもロッド操作をし続けられる様な軽い操作性を実現するためにバットエンドに着脱可能なウェイトを埋め込んだ。

これにより、ロッドのアクションバランスはかなり手元に近くなり、ロッド操作をした際の疲労感が激減した。一方、上の改良を行いつつも、ネオンナイトの継承者として、1フィート長いロッドと同等の飛距離を出すための4軸カーボン、ナノアロイテクノロジー適用プリプレグが持つ反発力に着目。飛ばして、パワーファイトができて、そして動かして軽い。港湾や小場所でルアーを積極的に動かしていきたいアングラーに贈る最高の1本がようやく完成した。

使用写真
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NIGHT HAWK 93ML

「こだわったのはスイングバランス」

当該モデルの開発にあたり、自身監修の他の3機種と持ち替えても即座にキャストに違和感のないフィーリングを備えることを目指した。そのため、メトロナイトとハイローラー、バンカー、この3機種に共通するハイパワーなパラボリックアクションをナイトホークにも折り込み、シーバスゲームの中核的なモデルとして位置づけるべくフィールドワークを重ねてきた。港湾や河川で使用するルアーでの絶対的な飛距離、高いアキュラシーとフッキング性能

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に磨きをかけ、最終的に明暗や港湾の50m以上先のストラクチャーをピンポイントに撃つことに特化したセッティングを行った。もちろんそれぞれの強みである粘ってバラしにくいブランクのテイストを踏襲したことはいうまでもない。93MLナイトホークが揃うことで、86LX メトロナイト、104ML ハイローラー、111MX バンカーの4機種をもって、あらゆる状況に応じて体系的にアプローチが叶う体勢が整った。

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HIGH ROLLER 104ML

「新規導入した素材の特性をもっとも享受することができる」

前作・Foojin'ADハイローラーは、圧倒的に軽く作ったことで多くの人に支持された。従来の10ft.ロッドではあり得ない、軽さ。それはアピアの最新技術によってこそできることであった。一方で、もう一つ変化を起こしたことがあった。それはロングレングスロッドのスローテーパー化という流れである。9ft.以下のロッドで主流であるファストアクションは飛距離とアキュラシーを高い次元で両立させるが、長さが10ft.以上になってくるとベリー部の反発が強く、振り切れる人が少なくなる。振り切れなければ飛距離が出せない。ルアーの飛距離というのはティップの速度で決まる。振り切ってナンボだ。初代ハイローラーはその反発力をバットからベリー、ティップへと順番に流していくことで一般的な成人男性なら確実にロッドを振り切れる様にセッティングし、圧倒的な飛距離を手に入れた。そして、魚が掛かればスローテーパーの特長が大いに発揮され、とにかくバレにくいロッドとして好評を博した。2015年、ハイローラーはナノアロイテクノロジーの採用により一層の進化をした。それは曲がるのに高い反発力を出せるナノアロイを使用することで、より細く、より軽く、より強く、まさにさらにパワーがあるのに振り切れる様になった。ハイローラーの様なモデルが一番ナノアロイとの親和性が高い。前モデルと比べてルアーの飛距離が向上。特に25〜40gのウェイト帯で大きな成果を出すことができた。一方、新しく取り入れた概念がキャスティングバランスというものだ。ロッドには1本1本、キャスティングの際の重心点が存在する。その重心点が違いすぎるロッドを使うと、ロッドを変えた際にキャストフィールやアキュラシーが狂いやすく、上達の妨げにもなる。

そのキャスティングバランスをメトロナイト、ナイトホーク、ハイローラー、バンカーといった僕の開発モデルに関して、ほぼレングス比等間隔になるように配置を行った。これにより、釣行の際にロッドをチェンジした際の違和感がほとんど無くなった。こうしたシリーズ間の調整によってより快適な釣りを実現することで更に使いやすくしていく。これも今後の多くのメーカーがなぞっていくことなのでは無いかと考えている。

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BANKER 111MX

「サーフキャスティングモデルとして醸成した新しいカタチ」

2013年と2014年は全国各地のサーフでロッドを振る機会があった。その時に使っていたロッドは磯のヒラスズキ用のロッド、バックⅢである。11.1ft.のレングスであるが、Foojin'ADであるからにして、当然軽い。10.4ft.のハイローラーもよく使ったが、18cmの差は飛距離に大きな差をもたらす。40gのジグであれば10m近くは距離に差が出る。遠投ばかりのサーフキャスティングゲームにおいて、10mアドバンテージは釣果に直結するのである。だからテレビ取材など外しが効かない場面ではほとんどバックⅢを使用していた。しかし、バックⅢはさすがに磯ヒラと磯場でファイトする為のパワーも備えている。そのパワーゆえに、相当な上級者でなければバックⅢを振り切るというのが難しいのである。そう感じていた矢先にこのモデルの開発依頼の声が掛かった。個人的にはバックⅢで十分と思っていたのだが、ヒラスズキ用のモデルシリーズが始まると同時にバックⅢもそちらの方向へ移行してしまうということで、このバンカーの開発監修を承諾。意識したのはハイローラーとの使い分け。キャスティングバランスやアクションバランスをしっかりと意識して、ハイローラーのフィーリングでしっかりとジグやミノーをキャストできる様なイメージを大事にした。サーフキャスティングで多用する20~50gぐらいのルアーをペンデュラムキャストで投げ込めるスローテーパー設計。サーフはアングラー後方の地面が盛り上がって高いために垂らしを長く取れない。砂に触れない垂らしの長さから短い移動距離でしっかりとウェイトがバットに乗っていくように、かつナノアロイの反発力でしっかりとリリースのタイミングまでにティップスピードが最高速になる様に調整を繰り返した。

魚が掛かったらしっかりとバットパワーで魚の引きをためつつ、曲がってから出てくるパワーでヒラメなどのフラットフィッシュをしっかりと浮かせる。また、スローテーパーデザインなので波打ち際ではロッドがフルベンドし、不本意なフックアウトを極力防止。また、ロッドが長い分、波っけのある時はラインを上方に捌きやすくなり、砂が原因で起こる様々なトラブルを防ぐことも可能。サーフで使いやすく、しっかりと飛ばせるロッドがここに誕生した。

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村岡昌憲について